Lesson21-7 開業手続きと最終確認

開業手続きと最終チェック

マネープランを中心に開業について話を進めてきましたが、その他にも押さえておくべきポイントがあるので、簡単にあげておきましょう。

Rawpixel.com/Shutterstock.com

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① 資格を取るのを忘れずに

カフェを開業するためには、以下のうちのいずれかが必要です。

  • 食品衛生責任者
  • 調理師
  • 製菓衛生師
  • 栄養士

食品を扱うお店には「飲食店」の営業許可が必要です。これは、最寄りの保健所に申請すればよいのですが、その申請のためには食品を取り扱う責任者の資格を要します。

資格取得者は1店舗に一人いればよいので、必ずしも自分が資格を持っている必要はありません。ただ、「食品衛生責任者」の資格は保健所で開催する講習を1日受講すれば取得できるので、この資格くらいは取得しておきましょう。

申し込みから受講まで時間がかかることもあり、直近の申し込みでは定員が満員の場合もあるため、余裕をもって受講計画を立ててください。オープンの1か月前までには取得できるようにしておきましょう。

② ショップカードやメニューの作成

細かな話になりますが、オープン直前では間に合いません。わかりやすさや、デザインをよく考えて何をどのくらい作るのかの計画を立てましょう。

デザインや印刷などは専門の業者に発注するのが一番安心ではありますが、ある程度のものであるならパソコンなどを使えば自分で作ることもできます。初期費用を少しでも抑えようと思うなら、時間と手間はかかりますが自分で作ってもよいでしょう。

 

③ 広告宣伝

②とも関わってきますが、オープンの際にはまず多くの人に知ってもらう必要があります。そのための広告宣伝手段を考えましょう。

チラシを作る

一番オーソドックスな宣伝手段です。最もお店に近しい地域に住んでいる人に、お店のことを知ってもらうきっかけとなります。

チラシに載せる情報を決め、オープン特典などについてもしっかり計画を立ててチラシを作りましょう。チラシをまく地域をどの程度にするのかは、業者と相談するとよいでしょう。チラシだけポスティングする方法と、新聞に入れてもらう方法とがあります。地域によってもその料金は変わりますので、これも見積をとって業者を検討します。

なお、チラシの枚数は「千・万」という単位になるので、印刷などは業者に頼むのがよいでしょう。紙質や使用するカラーなどによっても、チラシの価格は変わってきますが、最初の挨拶状となるものでもありますから、ある程度しっかりしたものを作りましょう。

タウン情報誌やフリーペーパーに掲載する

タウン情報誌やフリーペーパーなどに掲載すると、地域に住んでいる方の目に触れやすくなり、配布もお任せできるので一つの宣伝手段として有効です。

有名な情報誌では高額な広告費がかかる場合もありますが、地域密着のものなら広告費も定額の場合が多いでしょう。一度問い合わせして確認してみましょう。

インターネットで集客する

最近はインターネットによる集客も重要になってきています。

利用できるweb媒体やツール

  • ホームページの作成
  • ブログの作成
  • Google map
  • 地域のポータルサイト
  • face book・Line・twitterなどのSNSページの作成・・・など

ホームページの作成はもはや必須となりました。それと合わせて、Google mapや地域のポータルサイトなどへの登録、facebookやLine、twitterなどのSNSページの作成も考えるとよいでしょう。

開店してからでも遅くはありませんが、インターネットによる口コミの力は侮れません。できれば開店前にUPし、オープンの予定を広めておくことが望ましいといえます。

ページの作成には専門の業者に発注することもできますが、SNSやブログなどの簡単なものであれば、自分でも比較的簡単に設定ができます。最初にSNSやブログから始め、そのあとにホームページのことを考えるという予定で取り組んでもいいでしょう。

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④ オリジナルグッズや販促商品

お店の個性を出しリピーターを増やすためには、スタッフのユニフォームや、販促用の小物などを作ることも効果的です。

センスのよいティーウエアや、オリジナルのブレンドティーバッグでもよいでしょう。オープンの記念に先着のお客様に配布するなどもおすすめです。

 

⑤ プレオープンの重要性

「ぶっつけ本番」という言葉はありますが、何事も十分な準備は必要です。飲食店経営や運営経験がない場合には、必ずプレオープンを行い実地で経験・体感することが重要です。

お客様には、「初心者マーク」などは通用しません。オープンしたばかりの頃はただでさえ手際が悪く、お客様にも多少のストレスを与える可能性も高くなります。寛容なお客様ばかりとは限らないので、お店の良くない評判をSNSなどにアップするなどの事態が起こる可能性があります。これは、お店にとっては大きなリスクとなります。

そのため、オープンの2~3日前に、親しい人やご近所の方をお招きしてプレオープンを行い、調理と接客を実際の店で経験・体感しましょう。

シュミレーションと現実のギャップをオープンまでに修正する

頭の中でシミュレーションしていたことと、現実とのギャップがどの程度なのか、修正するべきところはどこか等々、たくさんの気付きがあるはずです。それをスタッフ全員で共有し、グランドオープンまでにすべてを良い状態に整えます。

逆の言い方をすると、無料もしくはある程度大きめの割引で提供するプレオープンでなら、まだ失敗は許されます。たくさんの失敗があるかもしれませんが、落ち込んでいる暇はありません。むしろ、「オープンしてからの失敗でなくてよかった」とポジティブに考えて、オープンに向けて全力で準備を進めましょう。

⑥ スタッフを雇う場合の保障と福利厚生

baranq/Shutterstock.com

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一人で全てを運営するなら話は別ですが、人を雇う場合には考えなければならないことがいくつかあります。特に「保障」は大切です。労働環境を整備するのはオーナーの役目です。

  • 雇用保険:ハローワークへ
  • 労災保険:労働基準監督署へ
  • 健康保険と厚生保険:社会保険事務所

経済的な負担は大きくなりますが、良い人材はより良い雇用条件を探します。せっかく育てた人材が辞めてしまっては、長い目で見ると損失となりますし、お店の評価にも関わります。アルバイトを大勢雇う大きな店ならともかく、小さなお店のスタッフのことはお客様も覚えているものです。いつも行くたびにスタッフが変わるようなお店では信用にも関わるでしょう。

オーナーとしての手続きはほとんどの人が初めてで不明点も多いですが、各機関の指示に従って進めていけば大丈夫です。時間的なゆとりを持って取り組むようにすれば、焦る必要もありません。

お店が軌道に乗ってきたら、保障だけではなく福利厚生についても考えましょう。スタッフに気持ちよく働いてもらえば、お店の雰囲気も明るく活気が出てきます。そのためにも、こうした労働条件や環境に配慮していくことを忘れないでください。

⑦ 万一のときのために

火事、盗難、事故といった不測の事態は、「いつでも起こりうるもの」という認識が必要です。そうしたことに対処するためにも、オープン前には保険に加入も考慮しましょう。保険会社や商品によっても異なってきますが、年間5万円程度を目安にして考えるのが一般的です。

  • 店舗総合保険:店舗などの建物と、建物内の動産、について、広く保障をする。
  • 賠償責任保険:店舗内で発生したお客様のケガなどに対応。
  • 店舗休業保険:偶然な事故により営業ができない場合などのときに、その損害を補償。

また、店舗の場所や状況によっては、警備会社に夜間や休業時の警備をしてもらうのも検討しましょう。緊急の場合には、駆けつけてくれるので安心です。

さらに、火災や地震などの災害発生時に、お客様をどのように誘導するのかなどの防災計画についても考えておくべきです。お店から安全な場所に誘導するための経路はもちろんのこと、緊急の傷病者が発生した場合などの対応について、あらかじめ決めておき、スタッフ全員で共有しておくことも大切です。

 

夢のお店のオープンは、ゴールではなくスタート

全ての準備が整ったら、いよいよ新しい挑戦が始まります。楽しいことも、嬉しい事も、苦労も困難も、その全てがあなたの人生を豊かにする出来事となるでしょう。

あなたの淹れた紅茶や手作りのティーフードを楽しみにして来てくれる人たちのために、笑顔が溢れる時間を提供できる、あなただけの空間をつくっていきましょう。