ニルギリ Nilgiris
ニルギリは南インドに位置しています。
ニルギリとは「青い山脈」という意味で、インドの西海岸沿いに横たわる西ガッツ山脈を指し、標高1200~1800mの丘陵、ニルギリ高原が産地です。
気候
年間の降水量は1920mm、北インドの産地に比べると赤道にかなり近い位置にあるため、日中の日差しが非常に強くなります。しかし、標高の高さから夏でも気温は25℃を上回ることはあまりなく、冬は0~20℃と過ごしやすい気候です。
産地の歴史
茶園としてよりも、夏の避暑地として開拓されてきた歴史があります。最初は中国種の試験的な栽培がおこなわれましたが、これは大失敗に終わりました。その後アッサム種が導入されたことにより、19世紀後半からは茶の栽培が本格化し、現在ではこの地域の主要産業となっています。栽培面積は約7万㏊ほどです。
ニルギリのクオリティーシーズン
年間を通しての栽培が可能で、ベストシーズンは4~5月、9~12月です。この期間にニルギリ茶の60%が生産されます。西側斜面は1~2月、東側斜面で8~9月のクオリティーシーズンがあります。90%以上はCTC製法で生産されています。
良質のクオリティーシーズンのお茶には、柑橘系の香りを感じさせるものもあります。香り、コク、水色、渋みのバランスがよいお茶です。
- 茶葉も水色も明るい色
- スリランカにも近く気候的にも似ているため、セイロン茶を思わせる香味を持つものもある
- すっきりとしていてクセはなく、爽快な味わいが特徴
- 強い渋みもなく、飲みやすい紅茶ですから、どのような飲み方にも合う。
ニルギリの主な茶園
◆カイルベッタ
茶園の名前「カイルベッタ」は、タミル語で「丘の頂上」という意味で、その名のとおり、茶園は、ニルギリ地方の中でも特に標高の高い1900m程の場所にあります。
この茶園で作られる茶葉は多くが輸出用となっており、海外で高い人気を誇ります。12~1月にかけての冬摘みの紅茶は、最上であると高い評価を得ています。グリニッシュでエキゾチックな花の香りと、シャープで刺激的な味わいが魅力です。ダージリンと同様の製茶方法を取り入れており、ダージリンが休みの冬に、ダージリンに負けない上質のお茶が味わえるので、日本でも近年人気が出てきています。
◆クレイグモア
標高1800m前後のニルギリ南部の深い谷あいに広がる茶園です。隔絶された環境にあるため、製茶の工場も茶園内に建設されています。それだけではなく、水や電気はすべて自給自足、また茶園内には働く人たちのために病院や学校も建てられています。
安定した降雨量と昼夜の寒暖の差があるため、茶葉は、ハイグロウンティーながら、ミディアムグロウンティーのようなさわやかさがあり、ダージリンを彷彿とさせるといわれます。
◆チャムラジ
2000mを超える高地に位置している茶園です。ニルギリの紅茶は比較的安価なものが多いですが、その中でも高品質の紅茶づくりにこだわっています。ハイグロウンティーならではの、黒く引き締まった茶葉と、上品で甘いフラワリーな香りを持ち、なめらかな口当たりを持つことが魅力とされます。
CTCが主流のニルギリの中では珍しく、リーフタイプの紅茶を生産しています。また、インドの茶園でも、いちはやくフェアトレードを導入したことでも知られています。農園で働くスタッフやその家族の福祉に力を入れており、特に農園スタッフの子供たちに対して、高等教育までの学校教育を充実させることにも力を注いでいます。
Lesson2のまとめ
確認テストで学習した内容を確認し、知識を定着させましょう。
ここからLesson2の確認問題を行うことができます。
