ウバ Uva
スリランカの中央から南部へと広がる山岳地帯の東側の斜面で生産されるお茶で、茶園や工場は海抜1000~1600mの範囲にあります。周辺の地域も含むため、ウバ茶の産地は広い範囲にわたります。栽培面積は、およそ5万㏊。世界三大銘茶の一つに数えられます。
気候
スリランカは、11~2月に北東モンスーン、5~9月に南西モンスーンの影響を受けます。その間に挟まれる3~4月、10~11月は多雨の季節となります。7~9月に吹く南西モンスーンは、乾燥の季節で乾いた風がウバの茶を良質なものにしてくれます。特に、乾燥した好天の期間が40日以上続いた最後の2週間に、特徴的な香りのする良質なお茶ができるとされます。
一年を通して茶の生産が行われていますが、多雨の影響を受ける季節は量産期となります。
産地の歴史
ウバは仏教寺院が多く小乗仏教を信仰するシンハラ人の巡礼の地としても有名です。1890年、トーマス・リプトンがウバの茶園を買収、製茶工場を建設してウバ産の紅茶の増産を開始し、後の繁栄の基礎を築きました。
ゴールデンリングとセミ・オーソドックス
バランスが取れた上質なものには、カップの縁に「ゴールデンリング(コロナ)」と呼ばれる金色の輪が見られます。
ローターベインという切揉機を使用するセミ・オーソドックスといわれる製法が主流です。
- ベストシーズン:7~9月。特に最終期間には最良品が得られるといわれる。
- 茶葉は茶褐色、水色は明るい真紅色からオレンジ色
- 鋭い渋み感がある
- ウバ・フレーバーと呼ばれるバラ香と、メチルサルチル系の独特の芳香を持つことが特徴
- ストレートもしくはミルクティーがお勧め
ウバの主な茶園
◆ウバ・ハイランズ
年間の生産量はおよそ1000t、ウバのみならずスリランカを代表する大規模な茶園の一つです。その大部分は輸出用です。
生産される紅茶にはチップが豊富に含まれており、均整のとれた茶葉と透きとおった赤い水色の美しさが特徴です。ウバらしい力強さと、メントールのようなさわやかな香りが楽しめます。その落ち着いた渋みと清涼感は、油の多い食事やスイーツの後によく合う紅茶として定評があります。
◆エズラビ
1925年、イギリス人によって拓かれた茶園です。ですから「エズラビ」の名前は、イギリス・ヨークシャー地方北部にある町の名前にちなんだものだといわれます。
ウバのお茶に特有のサロメチール香がひときわ強く、飲んだあとにすっと鼻からぬけるような爽快感を感じるのが特徴です。穏やかな渋みとほのかな甘味があるので、ミルクをいれても十分にその風味を楽しむことができます。美しいゴールデンリングを作ることでも定評があるので、水色も楽しみたいお茶です。
◆セントジェームス
ウバを代表する茶園の一つで、1924年にイギリス人によって拓かれました。水色は赤色で、穏やかな渋みと、しっかりとした味わいが特徴です。
ウバに特徴的なサロメチール香は、他に比較すると強い方ではありませんが、フルーツのような甘くさわやかな香りがします。他のウバ茶よりもその特徴が抑えられているので、ウバ茶の特徴を好む人には少し物足りなさもあるようです。
◆ダイラバ
独特の香味と渋みが特徴のウバのハイグロウンティーですが、ダイラバ茶園の紅茶は、飲みごたえのあるウバの中でもクセが少なく飲みやすい紅茶といわれています。
