Lesson6-2 ネパールの茶園

ネパール  Nepal

インドの北東部に隣接するネパールは、東南に細長い内陸国です。国土の中央から北側には、世界の最高峰チョモランマを頂くヒマラヤ山脈が連なり、南側にはタライ平原が広がっています。茶の栽培は標高900~2100mのヒマラヤ山脈の東側で行われており、美しい天空の茶園が広がります。

日本での知名度は低いネパール紅茶ですが、機械仕上げだけでなくハンドメイドを取り入れたこだわりの製茶技法が特徴でもあり、ネパールではほとんどがオーソドックス製法です。一方、南部のタライ平原の東側は、インドのテライと接しているのでテライ同様CTC製法の紅茶が生産されています。

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気候

この地域はインドのダージリンやシッキムと接しているので、気候もそれらの地域とほとんど同じで全体的に冷涼です。夏季を除くと一日の寒暖の差が大きく、降雪も少なめで茶樹栽培に適していると言えます。

産地の歴史

20世紀後半になって、本格的に茶の栽培がおこなわれるようになりました。ダージリンに続く中国種の生産地として注目を集めました。

ダージリンと似た特徴を持つネパール紅茶

山岳地域の生産時期はダージリンとほぼ同じで、3~4月にファースト・フラッシュ、5~6月にセカンド・フラッシュ、7~9月のモンスーン・フラッシュ、10~11月のオータムナルとなります。香味もやはりダージリンと良く似ており、シーズンを通して飲みやすいという特徴を持っている紅茶です。

  • ダージリンと似た特徴を持ち、ファースト・セカンド・モンスーン・オータムナルと季節によって違いが生まれる
  • ダージリンにも似た芳醇な香りとキレのある味わいが特徴
  • ストレートがお勧め

 

 

ネパールの主な茶園

◆マルーム

マルームの名称は茶園ではなく、製茶工場です。ネパールの東に位置する標高1300メートルのイラム地方の茶園から、質の良い茶葉を選んで買い付け、品質の安定した紅茶を作っています。

花のような香りが特徴で、ほどよい渋みとカカオのような風味があります。軽い飲み口の紅茶が多いネパール紅茶の中でも、深いコクがあるのが特徴です。

隣接するインドのダージリンやシッキム地方からも、生茶葉や半製品が持ち込まれて製品に仕上げられることもあります。出荷の時には「ネパール産」と表示されるようですが、しばしばダージリンの増量用としても使われることがあります。

◆カンヤムアッパー

カンヤム茶園は、ネパール東部のメチ県イラム郡カンヤム地域にあるネパール国営茶園の一つで、ネパールでも歴史のある茶園の一つです。イラム地方は、国境を挟んでダージリンと接しているので、茶の栽培が盛んな地域ですが、生産量はダージリンと比べると少ないので、知名度はあまり高くありません。ただし、樹齢が比較的若いこともあり良質な茶葉を産出しているという評価を得ているため、ドイツなどで人気があります。

そのほとんどがヨーロッパに向けに輸出されるので、日本国内で入手するのは少し難しいようです。クオリティーシーズンは、ダージリンとほぼ同じで、ファースト・フラッシュは若々しい爽やかさ、セカンド・フラッシュの上級品にはマスカットフレーバーがあり、オータムは芯の通ったしっかりした味わいを持ちます。水色は美しいオレンジ色で、あっさりした飲み口が特徴です。

◆サキーラ

2000年に開業した新しい製茶工場です。周辺に50ほど点在する小規模な茶園では、無農薬で茶樹栽培を行っており、管理の行き届いた茶園による茶葉の品質は、高く評価されています。

ダージリンとは、国境を挟んで隣接しており、気候も似ているため似た特徴を持つ茶葉となります。バランスがとれていて、フルーティーな味わいが特徴です。