Lesson8-6 茶道具へのこだわり

ティーポットの普及

メアリⅡ世には子供がなかったので、1702年妹のアン王女が王位を継承しました。アン王女の時代にはティーポットが普及します。

17世紀末には、中国や日本の急須が輸入されてきましたが、西洋人のニーズには合いませんでした。「茶」が富や権力の象徴であった時代、たくさんの人を茶会でもてなすには、大きなポットが理想だったのです。

クィーン・アン・スタイルのティーポット

そこで、アン女王は、純銀の大きめのポットを作らせます。女王が愛したフルーツ、洋ナシの形をモチーフにしたポットは、「クィーン・アン・スタイル」と呼ばれ、たちまち上流階級のステイタス・シンボルとなりました。クィーン・アン・スタイルのティーポットは、現在でも人気があります。縦直線にエンボスされたデザインです。ハンドルと蓋の取っ手は黒のエボニーでできています。縦直線にエンボスされたデザインですとハンドルと蓋の取っ手は黒のエボニーが特徴です。

茶が特別なものから日常的な習慣へ

アン女王は朝食に「茶」を飲むことを好みました。そこから、朝食に「茶」とバターつきのパンを食べるという習慣が確立します。

このように特別な「茶会」だけではなく、日常の生活のさまざまなシーンに気軽に「茶」を飲むというライフスタイルは上流階級の人々にも影響を与えました。

オランジェリーティールーム

さらに、社交的で美意識の高かったアン女王は、「茶」を飲む環境にもこだわりいくつもの宮殿に「茶室」を設けました。彼女の即位を記念してロンドンのケンジントン宮殿に作られた「オランジェリー」は大きな窓のある白亜の美しい茶室で、庭には当時貴重だった東洋由来のオレンジが植えられました。「オランジェリー」は、現在ティールームとして一般の人々も気軽に利用できる施設となっています。

ケンジントン宮殿のオランジェリー出典: www.flickr.com

ケンジントン宮殿のオランジェリー出典: www.flickr.com

茶の普及と有名紅茶ブランドの創業

このように「茶」が普及するにしたがって、「茶」の小売業者も増えていきます。今日に続く、トワイニング社やフォートナム&メイソンなどは、このアン女王の時代の創業です。

 

Lesson8のまとめ

確認テストで学習した内容を確認し、知識を定着させましょう。
ここからLesson8の確認問題を行うことができます。