茶樹
茶樹は、日本では静岡を始め京都や鹿児島などが主な産地となります。青々と広がる茶畑は名勝でもあり、コーヒーやココアなど主な産地が外国の植物の飲料と比較すると実際に見ることは難しいことではありません。
茶樹は熱帯および亜熱帯が原産の常緑樹ですが、品種によってはそれより緯度の高いところでも栽培可能な植物である、学名に「カメリア」の名があることからもわかるように、ツバキの仲間です。原産地は、インドやベトナム、中国南西部といわれていますが、詳しいことはよくわかっていません。日本の栽培北限は現在宮城県とされており、南東北や関東以南の地域では、かつては農家の庭先や山林などにも植えられており、自家製の緑茶も作られていました。
茶畑では、茶樹は1メートル程度に刈り込まれますが、野生のものでは2メートルにも達することもあります。花の季節は秋で、10月から11月頃に小さなツバキに似た白い花を咲かせます。その後種子をつけますが、3つ固まった状態で結実することが多いので、この形が日本では茶畑の地図記号「∴」となりました。
茶樹の国際規格
アッサム種と中国種
現在、茶樹には国際規格で2つの種類があります。一つはアッサム種です。高温多湿の気候を好む熱帯の地域で栽培されることの多い品種です。
もう一つは中国種で、日本で栽培されているのもこちらの流れを汲むものと考えられています。耐寒性があるので、温帯の地域でも生育できます。
アッサム種は、喬木(きょうぼく=背の高い木)ですが、中国種は灌木(かんぼく=背の低い木)です。この性質は茶葉の大きさにも表れていて、アッサム種は中国種よりも茶葉が一回り大きいものとなっています。いずれも、雨量が多く水はけの良い弱酸性の土地を好み、主な産地は南緯35度から北緯45度の熱帯から温帯にかけての地域で、これを「ティーベルト」と呼びます。
かつては茶の種子を採種し、苗木を育てて茶畑に移植し3年から4年をかけて育ててから茶葉をとりましたが、最近はクローン栽培という方法がメインとなっており、これは優れた母樹から1節1葉を採り、苗床に挿して半年から1年間育てた後、茶畑に移植するという方法です。
