Lesson1-6 紅茶の成分と効能

茶は、古くは「」として用いられていました。歴史的な様々な論争を経て、現在ではその成分が科学的に分析され、私たちの健康にとても有効な成分が多く含まれていることが明らかとなっています。

緑茶、ウーロン茶、紅茶は、それぞれ含有成分が異なります。ここでは特に紅茶の成分について学習していきましょう。

タンニン(カテキン)

お茶に含まれるタンニンは、一般にはカテキンと呼ばれています。これは茶にしか含まれない成分であるため、特に茶カテキンということもあります。6〜8種類が確認されており、その含有量は茶葉の15~20%といわれています。お茶の薬理効果の中心となる成分で、渋みのもとにもなっています。

このうち、茶葉には下記の4種類のカテキンが含まれています。

  • エピカテキン
  • エピガロカテキン
  • エピカテキンガレート
  • エピガロカテキンガレート

なお、このカテキンはポリフェノールと呼ばれる成分の1部にあたりますので、それらに近い効能も有しています。主に代表的な効能は以下のとおりです。

カテキンの代表的な効能

  • 血中コレステロールを減少させて、動脈硬化を予防する。
  • 抗酸化作用があるので、アンシエイジングに効果が期待される。
  • 風邪のウイルスを抑制する。(ただし、ミルクを加えると効果が弱まるので、ストレートで。飲むだけでなく、うがいをするのも予防には効果的)
  • 血圧の上昇を抑える。
  • 血糖値の上昇を抑え、糖尿病を予防する。
  • 下痢止めに効果がある。
  • 抗菌・抗毒作用がある。
  • タバコのニコチン等を減少させる。………など

また、タンニンと後述するカフェインは、胃壁を拡張させて胃液を多く分泌させます。これにより、消化機能が活性化し、胃腸の調子を整えてくれるという作用も期待されます。

テアニン

紅茶のうま味や甘味、香りをもたらすアミノ酸の一種です。リラックス効果もあります。

カフェイン

新陳代謝や皮下脂肪の燃焼を促す働きを持つカフェインは、ダイエットにも効果的とされています。ダイエット目的のカフェイン摂取の際には、砂糖やミルクを入れずに飲むようにします。

また自律神経を興奮させる覚醒作用があり、眠気覚ましにも用いられるコーヒーとの比較がなされることが多々あります。コーヒー豆と紅茶茶葉の重量を1:1とし、完全に抽出させてカフェイン含有量を比較すると、コーヒー:紅茶=1:2ほどになります。しかし、実際に飲むときのカップ1杯の量で比較すると、比率が逆転して、コーヒー:紅茶=2:1になります。つまり、普通に飲む場合には紅茶に含まれるカフェインの量はコーヒーの半分程度だということです。

カフェインには依存性(中毒性)があるため過剰摂取は禁物です。毎日1杯の習慣があるなら、紅茶の方がカフェインの摂取量を抑えることができるといえます。

coffee-751619_640

ッ素

歯のエナメル質を強くする働きがあり、抗菌作用のあるカテキンとともに活躍して、虫歯予防に効果が期待されます。歯槽膿漏や口内の細菌類にも働くため、口臭予防にもなります。

ビタミンB群

ビタミンは酵素のはたらきをサポートする役割がありますが、紅茶に多く含まれるビタミンB群は、皮膚の病気や口内炎などを防ぎ、疲労回復やストレス解消にも効果があります。

カリウム

筋肉の収縮や弛緩を助ける作用を持ちます。また利尿作用があるので、体内の老廃物を効果的に排出します。

カロテン

飲み物としての紅茶には含まれていませんが、茶葉に含まれているため、そのままお菓子に使うなどすることで摂取できるようになります。

 

様々な紅茶の魅力

紅茶は以上のような成分を含み、健康にもメリットのある飲み物(もしくは食べ物)であるということができます。しかし、紅茶の魅力は健康効果だけではありません。さまざまな生活シーンで紅茶は大活躍します。

①肉を煮込む

茶葉がお菓子だけでなく、料理にも用いることができます。肉を紅茶で煮込むと臭みが取れるばかりでなく、タンニンのはたらきで柔らかく煮ることができます。

②水虫薬として用いる

紅茶で患部を洗ったり直接つけたりすると、水虫(白癬菌)にも効果があるといわれます。

③消臭剤として用いる

紅茶は他の臭いを吸収しやすいため保管には注意が必要ですが、その性質を逆手にとって消臭剤として使用できます。
ティーポットなどを保管しておく際に賞味期限切れの茶葉をスプーン1杯入れておくと、カビ臭い臭いがつくのを防ぐこともできます。消臭剤として使用する際には、こまめに取り換えることがポイントです。

④掃除に用いる

日本茶の出がらしを床や畳に蒔いて箒で掃除をする方法は古くから行われていますが、紅茶も同様の効果があります。床や木製品を磨く際に利用するとピカピカになります。抗菌作用もあり、一石二鳥です。

⑤防虫剤として用いる

茶葉を燃やしたときに出る煙には、防虫効果もあります。化学的な殺虫剤や虫除けの薬品にアレルギーがある方は、安心して使用することができます。お茶の香りとともに防虫効果が期待できれば、優雅な夏が過ごせることでしょう。

⑥アイパックとして用いる

使用済みのティーバッグを2つ冷やし目に当てるとアイパックもできます。水気を絞ってから使用すると、カテキンやビタミンの効果で目がすっきりとします。

⑦リンス剤として用いる

冷ました紅茶液は実はリンスとしても利用できます。タンニンが髪の傷みをやわらげ、カフェインが地肌を引き締める役割を果たします。白髪染めをした後に、紅茶液ですすぐとよりきれいに仕上がります。

⑧染め物に用いる

紅茶の色素は天然色素として染め物に利用することもできます。布だけではなく、紙なども染めると素敵なブラウンに染まります。賞味期限切れの茶葉やティーバッグがある時にはチャレンジしてみましょう。煮だした紅茶液に布製品を浸けておくだけですので簡単です。

background-collection-164906_640