③ジャンピング
美味しい紅茶を淹れるための要素として、日本でとても重要視されているのがこの「ジャンピング」です。
ジャンピングとは
いわゆる「ジャンピング」とは、ティーポットの中で茶葉がゆったりと上下運動することです。葉が不規則に上下に動く様子がジャンプしているように見えることから、日本ではそのように呼ばれるようになりました。
ジャンピングがなぜ大切かというと、ゆったりと上下運動を行うことで茶葉の一片一片からまんべんなく、味やフレーバーを抽出することができるからです。
ジャンピングのためのポイント
ジャンピングが起きるようにするためには、いくつかのポイントがあります。
- 汲みたての空気が含まれた水を用いる
- 熱伝導のよいやかんなどを用い、空気を失わないよう短時間で沸騰させる
- 沸騰直後のお湯をポットに注ぐ
- ジャンピングが起こりやすい丸みを帯びたポットを使用し、湯が冷めないよう予め温めておく
ジャンピングの観察
- 上記ポイントに注意し、沸騰したてのお湯を勢い良く注ぐ。
- 茶葉の半分以上が浮かび、残りは下に沈む。
- しばらくすると上下に動き始める。
- 水分を十分に含んだ茶葉は、ポットの下に沈んでいく。
沸騰状態によるジャンピングの違い
- 沸騰不足の場合・・・沸騰する前にお湯を注ぐと、茶葉に水分が含まれるのに時間がかかりジャンピングが起こりにくくなります。茶葉はほとんどが上方に浮いた状態となります。
- 最適な沸騰状態の場合・・・最適な温度は98℃とされており、沸かしたてのこの温度のお湯を勢い良く注ぐと、茶葉は勢いよくジャンピングの動きを見せます。水分が適度に茶葉に含まれてゆき、紅茶のもつ水色や味、フレーバーを最大限に引き出しやすくなります。
- 沸騰過剰の場合・・・沸騰しているのに火にかけたままの状態にしておくと、水分中の空気が次第に少なくなりジャンピングは起こりにくくなります。茶葉に水分が含まれる時間が短くなり、あっという間に茶葉はポットの下に沈み、エグみが出やすくなります。
ジャンピングは紅茶成分抽出のための一つの目安
ジャンピングは、茶葉が水分を含み、茶葉から成分が抽出されるための準備が整ったこと、あるいは十分に抽出されたことを見極めるための、ひとつのわかりやすい目安です。
日本では紅茶を淹れる場合この「ジャンピング」という茶葉の上下運動が重視されていますが、かならずしも全ての茶葉でこの現象が起きるとは限らず、ジャンピングしにくい茶葉もあります。あくまでも目安ですし、ジャンピングが起きない茶葉は美味しくない、質が悪いというわけではないので、茶葉を動かすためにスプーンなどでかき混ぜるなどはしないようにします。
海外では重視されていない「ジャンピング」
この「ジャンピング」という用語は、実は日本で作られた言葉です。そのため日本でしか通用しませず、海外ではこのような表現はありません。
ジャンピングは、紅茶成分が抽出されていることがわかる一つの目安であり、ポットの中で茶葉に上下運動させることが目的ではありません。成分が適切に抽出されおいしい紅茶となるために必要な要素は、これまで学習した下記の要素です。
空気を十分に含んだ水を、沸騰させてすぐに注ぐ
世界的に共通するおいしい紅茶を淹れるための要素は、「沸かしたての空気が含まれた状態のお湯を用いること」であり、それにより自然にジャンピングが起こります。茶葉の上下運動をあえて重視することはありません。ただし「空気を含んだ沸騰したてのお湯」を用いる点では、日本と同じです。そしてその目的は、適切に最も美味しい状態で紅茶の成分を最大限抽出することなのです。
おいしい紅茶を淹れるために必要なことは、「ジャンピングさせるために何かをする」のではなく、「おいしい淹れ方をした結果ジャンピングが起こることもある」という考え方を持っておきましょう。ジャンピングがおいしい紅茶のための必須条件となってしまうと、水出しの紅茶や煮立てるロイヤルミルクティーなどは間違った紅茶の淹れ方という考えになりかねません。
もちろん、水の硬度や茶葉により最適な抽出時間が変わりますが、言葉や注目するポイントが変わっても、美味しい紅茶を淹れるための条件や行う手順などは基本的に同じです。
Lesson13のまとめ
確認テストで学習した内容を確認し、知識を定着させましょう。
ここからLesson13の確認問題を行うことができます。
