Lesson14-2 ティーウィズミルク

ストレートティーの淹れ方をマスターしたら、ここからは応用編となります。

ティーウィズミルクとはミルクティーのことです。イギリスでは「ミルクティー」という言い方はせず、ティーウィズミルクtea with milkがいわゆる日本人のいうミルクティーです。紅茶の濃厚な味わいとミルクのまろやかさのマリアージュは心やすらぐ一時を演出してくれます。

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ティーウィズミルク

基本の淹れ方

ストレートティーより濃くいれることがポイントです。茶葉の量を増やす、または抽出時間を長くします。茶葉はウバやアッサムなどコクと渋みのあるものがよく合います。

① お湯を沸かす

汲みたての水を、硬貨(5円玉)大の泡がポコポコという音をたてはじめるまで沸騰させます。

② 茶葉を入れる

あらかじめ温めていたポットに茶葉を量って入れます。ストレートティーの時よりも茶葉を多めに入れることで、コクをしっかり出しミルクに合う濃い目の紅茶になるようにします。

③ ポットにお湯を注ぐ

ポットをティーマットの上に置き、沸騰したてのお湯を勢いよく注ぎます。お湯の温度が下がらないよう、やかんやケトルの傍にティーポットを置いて作業します。

④ 茶葉を蒸らす

すぐにポットに蓋をしたら、ティーコージーをかぶせます。タイマーはストレートティーの時よりも少しだけ時間を長くしてじっくり蒸らしましょう。こうすることで濃い紅茶を淹れることができます。

⑤  ポットに注ぐ

温めておいた別のポットに、蒸らし終わった紅茶をストレーナーを使って注ぎ移します。最後の一滴のゴールデンドロップ(ベストドロップ)までしっかりと注ぎきるようにしましょう。

⑥ カップに注ぐ

カップの9分目くらいまで紅茶を注ぎます。こうすることでミルクと混ざっても十分な温かさを保つことができます。冷めないようにカップは温めておくこともポイントです。

⑦ 常温にしたミルクを注ぐ

ミルクの量の好みには個人差がありますが、一般的にはクリーミーブラウンになるまでミルクを注ぎます。ミルクと紅茶が混ざり合う様子を楽しみましょう。気になるようならティースプーンで軽く混ぜても構いません。

ミルクについて

  • 紅茶に入れるミルクは、冷蔵庫から出してすぐのものではなく常温に戻したものを使います。
  • ティースプーン2~3杯程度が適量です。
  • コーヒー用のクリームや、植物性の生クリームは紅茶の香味を阻害しますので、使用しないようにします。
  • 市販の牛乳でも構いませんが、可能であれば低温殺菌牛乳がおすすめです。

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ティーウィズミルクのバリエーション

シナモンなどのスパイスを加えると、楽しみ方が広がります。

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MIA?それともMIF?

MIA MIF とは?

世界組織の略称のようですが、「ミルクは先か後か」というイギリスを真っ二つに分断する大問題のことです。

先にミルクをカップに入れてから紅茶を注ぐのを「MIF milk in first」、紅茶を注いだ後にミルクを足していくのが「MIA milk in after」です。

この大論争に一応の決着をつけたのが、2003年6月24日、英国王立科学協会の「紅茶のおいしいいれ方」を10か条にまとめた「How to make a Perfect Cup of Tea」と題する論文でした。この組織は、イギリス内外を問わず幅広い専門家たちで構成された世界的な権威ある機関です。

これにより、科学的にはMIFが美味とされましたが、結局のところは「個人の好み」というのが大方の見解のようです。

英国王立科学協会による一杯の完璧な紅茶のいれ方

≪用意するもの≫

茶葉(アッサムOP or P) 軟水 新鮮な低温殺菌牛乳
白砂糖 やかん ポット
陶磁器のカップ 目の細かいトレーナー
ティースプーン 電子レンジ

≪10か条≫

  1. やかんに新鮮な軟水を注ぎ、火にかける。時間、水、火力などを無駄にせず適量を沸かす。
  2.  湯が沸くのを待つ間、ポットの1/4まで水を入れたものを電子レンジに入れ、1分間加熱し、ポットを温めておく。
  3.  やかんの湯が沸くと同時に、加熱したポットの湯を捨てる。
  4.  カップ1杯あたりティースプーン1杯の茶葉をポットに入れる。
  5.  沸騰しているやかんまで、ポットを持っていき、茶葉めがけて勢いよく注ぐ。
  6.  3分間蒸らす。
  7.  カップは好みで選んでよいが、大きめのマグカップが理想である。
  8.  カップに先にミルクを注ぎ、あとからストレーナーを使って紅茶を注ぐ。おいしそうな色合いを目指す。
  9.  砂糖は好みで適量を入れる。
  10.  紅茶の飲み頃の温度は60~65℃で、これ以上高いと飲みにくく、下品なすする音を立てることになる。

『紅茶の教科書』磯淵猛 新星出版社 2008より引用