Lesson18-1 ティーテイスティング

ティーテイスティングとは

Africa Studio/Shutterstock.com

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テイスティングとは、数種類のものを用意し同時に味わい比較することで、それぞれの特性や良し悪しを判断するために行われる専門的な工程です。ワインを代表として酒類のテイスティングが有名ですが、コーヒーやチョコレート、そして紅茶でもテイスティングが行われています。

一般の方にあまり認知されていないのは、ティーテイスティングは主に専門家によって行われていることが大半だからでしょう。茶メーカーや紅茶専門店などでは、茶葉の買付けや茶葉のブレンドをする際に、それぞれの紅茶の特徴を判別するために行います。テイスティングは紅茶の良し悪しを判断する上で最も大切な作業であり、メーカーや専門店でのテイスティングを行うには、専門知識や技術の修得、長年に渡る経験により感覚を磨くことが必要とされています。

専門技術を活用しやすい形で修得する

一般の方にとってテイスティングは未知の世界であり、専門道具を使用し、本格的にテイスティングを行う機会はなかなかないでしょう。しかしティーテイスティングには紅茶の魅力を知るために重要な要素が豊富につまっています。

ティーテイスティングは紅茶の楽しみを広げる一つの方法でもあります。紅茶アナリストとして、それぞれの紅茶の特徴を実際に自分の五感で確かめられるようになることで、マリアージュ、ペアリングやアレンジなどにも役立てる事ができます。

Lesson18でテイスティングについて知識を修得したら、ぜひ実践してみてください。その経験により、紅茶の世界が大きく広がります。

専門家の鑑定

①科学的分析

◆香りの分析

紅茶の成分を気化させ、薬剤を詰めた長い金属の管に通すと、成分によってその通過する速度に差が出ます。この速度の差で、成分を分離し分析を行います。

紅茶には、400種類以上の香りがあります。

◆味の分析

香りを分析する方法と基本的に同じですが、揮発性の物質に限らずに広くいろいろなものを測定します。紅茶の味は、カテキンの酸化重化合物が主な成分です。

◆色の分析

色の3要素と、色相、明度、彩度を数値化する機器と、水色の濁り具合を数値化する機器とを使って色を測定します。紅茶の色は、黄色系を構成する成分と、橙赤色系を構成する成分とが主な成分です。

TEA TASTING WHEEL ティーホイール(オーストラリア版)

試飲の際に用いられる「香り」「味」「色」の分類表です。

TEA FLAVOUR WHEEL

②官能審査

①のような科学的な機器を用いた計測に対して、専門のトレーニングを積んだ鑑定士(ティーテイスター)が、五感を使って行うのがこの官能審査です。

人間が行う以上、主観や嗜好が入る可能性があります。それを避けるために、特定の判断能力を持った人が、10年以上の経験を積んだ上で行うことになっています。品質の差や問題点などを評価するための審査となります。

◆原料茶

仕上げ茶として箱詰めされた36箱(約180㎏)の中から、1ポンド(約450g)の割合で抽出します。

◆鑑定室

北向きの直射日光を避けた窓際の明るい部屋で行います。照明はできるだけ太陽光に近いものを使用します。蛍光灯は色を見誤ることがあるので用いません。

Lemusique/Shutterstock.com

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◆道具

イギリス式の場合には長テーブル、アメリカ式の場合には丸テーブルを使います。

用いられる道具には、やかん、ティーポット(120mlの白いもの)、カップ(200mlのふた付きで白いもの)、秤、盆、タイマー、茶こし、スプーン、スピットーン(茶こぼし、はきだした茶液をうけるもの)などがあります。

◆方法

五感のうち、視覚(サイズや外観)、嗅覚(香り)、味覚(味わい)、触覚(口当たり、重さ、固さ)を使って行います。

  1. まず、茶葉を手に取り、サイズのグレード、その均一性、外観などの形をチェックします。
  2. 次に、抽出した紅茶液の水色(明るさや色調バランス)を見た後、すすりながら口に入れ、舌の上に転がすようにして香りと味をみます。
  3. 最後に茶殻の色、香り、サイズを見ます。