ティー・パーティーを開きましょう
気のおけない仲間と楽しむ茶会やティー・パーティは、人生を豊かにする時間となります。また初めて紅茶に親しむ方のためにも、最初のステップとしてティー・パーティはちょうどよい機会となるため、ティーサロンや紅茶専門店、カフェのオープンやイベントとしても最適です。
ホームパーティの流行により、これまでよりもティー・パーティを開催するハードルは下がっていますが、紅茶を楽しむための基本を押さえたパーティーにすることで、よりリッチな時間となります。
Lesson21では、ティー・パーティ開催のための基本事項や、シーズン・ティーパーティのアレンジなどを修得しましょう。
1. 準備
◆時間の設定
イギリスでアフタヌーンティーが全盛となった頃は午後4~5時ごろに始まるのが基本でしたが、現代の都合や時間帯に合わせて、だいたい午後2~5時ぐらいの間に設定するとよいでしょう。
また、ティーフードから一緒に作るパーティーの場合には、午後2時くらいから開催できるよう、料理時間を加味して午前中から開催してもよいでしょう。
◆場所
イギリスでの基本はドローイングルーム(応接室)ですが、日本の住宅事情には合いません。リビングルームやテラス、ガーデニングが趣味の人はお庭でと、お招きしたい場所を気軽に設定しましょう。
近くの公園にピクニックというのも素敵です。
◆メニュー
ティーフードやアレンジティー、茶葉選びは一番の楽しみですから、念入りに準備したいものです。
「◯◯がなければならない」にとらわれない
アフタヌーンティーといえば、サンドイッチやスコーンなどを盛り付ける3段のスタンドが定番ですが、絶対になければならないものではありません。さらにいえば、「キュウリのサンドイッチながなければならない」「スコーンが無ければならない」というものでもありません。
お茶とともに楽しめる焼き菓子などをいくつか準備するだけでも十分です。ショートブレッドやスコーンなどは市販のもので気軽に揃えることもできます。ただ、時間が許すのであれば、せっかくお招きする機会なのでできるだけ手作りの品を用意してもより楽しめるでしょう。
持ち寄りや一緒に料理するティーパーティも
ホストだけが準備すると負担が大きくなる場合には、持ち寄り形式にしてもよいでしょう。また、お料理好きな仲間とのパーティーの場合には、ティーフードを一緒に作ってそのままティーパーティをする流れを組むことで、料理の時間まで一緒に楽しむことができます。
◆テーブルセッティングや室内装飾など
ティーセットの他にも、テーブルクロスやナプキンなどにも気を遣ってみましょう。
テーブルクロス選びのポイント
テーブルクロスは、レースや刺繍のついた繊細な優しいイメージのものを使うと優雅な雰囲気を作り出してくれます。清潔感が大切ですので、皺のないようにしっかりとアイロンをかけておきましょう。
ティーナプキンを用いる
正式なティーナプキンのサイズは20×20(cm)または、30×30(cm)です。食事の時のナプキンよりも小ぶりで、かわりに装飾性の高いものを選びます。素材はリネン(麻)が理想ですが、必ずしも布製のものではなくともかまいません。ペーパーナプキンは、いろいろなデザインのものがたくさんあるので、季節感やティー・パーティーのテーマにあった柄を選ぶとよいでしょう。後片付けも楽で、実用的です。
季節感の演出を楽しみ、空間全体のテイストを合わせてみる
日本は四季の移ろいが美しい国ですから、できるだけ季節感を取り入れ、同時に室内の色調とティーウエアなどとのバランスにも気を配りたいものです。上品な雰囲気を楽しむならやはり磁器の器を、カジュアルな場合にはクリームウエアなどの陶器を利用するのもよいでしょう。4~6人分程度をそろえておくと、だいたい間に合います。自分にあった数を準備しておきましょう。
アフタヌーンティーの伝統も取り入れる
生花を飾る
また、アフタヌーンティーの伝統にのっとり、できるだけテーブルには生花を飾るのもおすすめです。お花屋さんにある程度選んでもらったり、アレンジを作ってもらったりしてもいいですし、自分で生けてみるのもいいでしょう。豪華なものテーブルが華やぎ美しいですが、さりげない可愛らしさを演出するという方法もあります。
茎が柔らかく花びらが大き目の花は、茎を短くカットして低い位置にまとめます。逆に茎がしっかりしていて小さな花をつけている場合には、細目に束ねるとバランスがよくなります。お互いの顔が見えるように置き、小ぶりにアレンジするようにしてください。
生花を飾る際の注意点
ただし、生花を飾る場合に注意したいことは、強い香りのある花は飾らないことです。せっかくの紅茶の香りを邪魔してしまいますので、飾る場所と香りのバランスに注意してください。
招待状や席札を作る
また、簡単なカードでいいと思いますので、手書きで招待状や座席表などを作ってみましょう。テーブルの上のさりげない演出も、工夫してください。
テーブルセッティングのちょっとしたポイント
- カップは右上、ケーキプレートは体の正面。
- お菓子が何種類もあるような時には、皿をもう一枚重ねる。
- ナイフとフォークは、ティータイム用の小ぶりのもの。
- スコーンなど手で食べるお菓子がある時には、ナイフとフォークはケーキプレートの上。また、丸テーブルやカジュアルなティータイムの時には、ケーキプレートの上に、カップ&ソーサーを置く。
2.ホストとしての役割
ティー・パーティーの主催者、お招きする側をホストと呼びます。どのようなティーパーティを開催するかにもよりますが、大勢を招いての本格的なティーパーティでの役割について学習しておきましょう。仲間内でのカジュアルなティー・パーティの際には、この基本を簡易化してもかまいません。
ホストは、お客様(ゲスト)にゆっくりとくつろいでいただくことが第一です。
ホストとティーパーティーマナー
まず、紅茶はお客様の目の前でティーカップに注いでから渡します。遠い席の場合には、お客様に回してもらっても大丈夫です。
ホストが席を回ってお茶を注ぐということはしませんので注意しましょう。カップが開いているのに気づいたら、「お茶のおかわりはいかがですか」と尋ねればOK。席を立つのは、あくまでもティーポットにお茶がなくなったときだけと心得ましょう。
もちろん、お菓子や食べ物を取り分けたりすることもホストの役割です。何よりも、紅茶を「正しく」「おいしく」いれることが大切な役割ですから、何度か練習をしておいしい紅茶をいれられるようにしておきましょう。
「おもてなしをする側」であることを忘れずに
あくまでも、おもてなしをする側ですから、お客様に気を使わせることのないようにすることが大切です。お客様が楽しく過ごせるような話題の提供、お互いに初対面という立場の人がいた場合には和やかに輪に加われるような配慮など、イギリスの貴婦人を見習って素敵なパーティーになるようにしましょう。
旅行の写真や可愛らしい小物を飾ったりして、会話のきっかけが生まれるような仕掛けをいくつかセットしておくのもよいでしょう。風変わりなティーフードなども楽しい話題のきっかけとなります。
3.お招きを受けたら
おいしいお茶やお菓子とともに、楽しい時間を共有することが目的です。「親しき仲にも礼儀あり」、ゲストとしてのマナーも覚えておきましょう。他の招待客にもさりげない気配りも大切です。
ゲストとしてのティーパーティーマナー
ローテーブルの場合には、ひざにナプキンを広げソーサーごとティーカップを持ちます。そうして、ティーカップだけを口元に運びます。
おかわりをすすめられたら、遠慮せずに頂いてかまいません。紅茶は香りを愉しみながら、音を立てずにそっと頂きます。ずずっとすする時代もありましたが、現代ではやめておいた方が良いでしょう。
また、ティーカップの底を天井に向けて飲み干すというのは無作法にあたります。紅茶占いのLessonで一口分だけ紅茶液を残すということを学習しましたが、実はこれがマナーです。もっとも、ティーカップの底を天井に見せるような飲み方をしなければ、必然的にカップの中に少しだけ残ることになります。
また、アフタヌーンティーにサンドイッチかバターつきパンが出された時には、最初にこれらを食べるのがマナーとされています。
マナーを知りながらも、堅苦しくなりすぎずに楽しむことが大切
もちろんこれはあくまでも正式なティー・パーティーでのマナーであり、日常の家庭生活ではこの限りではありませんし、友人との楽しいティー・パーティでは意識しすぎる必要はありません。せっかくの楽しい空間を、マナーに沿って注意したり気にかけすぎて気分を害しては本末転倒です。
イギリス人にとってはかなり大真面目なテーマである、「ミルクを先に入れるか後にするか」なども、結局のところ「個人の好み」の問題であるなど、マナーやうんちくは知っていることで必要な場合に活用できることが大切です。
まずは「やってみる」ことから
難しく考えずに、まずは最初のティーパーティを開催してみましょう。最初は至らない点やゲストが帰った後に反省会をしたくなる点もあるでしょうが、経験に勝る学びはありません。
回数を重ねるごとにあなたのホストとしての技術も向上し、気兼ねなくティーパーティを開催できるようになることでしょう。


