Lesson2-3 インドの茶葉②アッサム

アッサム Assam

北にヒマラヤ山脈、南東にパトカイ山脈に囲まれているアッサム州は、州の中央を大河ブラーマプートラが西に流れています。ヒマラヤを源流とするこの大河によって、肥沃な台地が形成されました。ブラーマプートラ川両岸には標高50~500mの丘陵地が広がり、世界でも有数の茶園があります。

インド

気候

気候は高温多湿、年間降水量は2000~3000mmにも達し、3~6月にかけての気温は35℃以上になります。3~6月が春・夏で、6~10月が雨季と秋、10月~2月が冬です。

産地の歴史

19世紀初めにこの地域でアッサム種が発見され、1839年からはイギリスによる本格的な紅茶生産が始まります。以後、ブラーマプートラ川沿いのジャングルが切り開かれ、大規模なプランテーションが次々と成立しました。

インドでも最大規模のアッサム茶生産

現在の栽培面積はおよそ32万㏊で、インド国内でも最大規模を誇ります。茶園の規模は大小様々ですが、その数は6万5000を超えるといわれています。

生産量は50万t、そのうちの90%以上はCTC茶です。アッサムのCTC茶はほとんどがティーバッグとして利用されています。味にコクがあり、香りも強めで水色も濃いので、ミルクとの相性がよいお茶です。

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アッサムのクオリティーシーズン

ファースト・フラッシュ

アッサムのファースト・フラッシュは軽やかで甘い香りが特徴です。輸入量は多くはないため、日本でお目にかかるのはまれです。

  • 収穫時期:3~4月
  • 水色は明るく軽やかで甘い香り
  • ストレート向き

セカンド・フラッシュ

モルティーフレーバー」と呼ばれる甘くて芳醇な奥深い香りと、濃厚で力強い味わいが特徴です。茶葉の外観には、ゴールデンチップ(※Column1参照)が多くみられます。

  • 収穫時期:5~6月
  • 水色は透明感のある濃い赤褐色
  • ミルクティーによく合う。

オータムナル

味に深みがあり、後味はさらりとしているのが特徴です。

  • 収穫時期:10月頃
  • 水色は明るく、バラ色の褐色となる
  • 香味は比較的穏やか
  • ストレートでもミルクティーでも、どちらでも楽しむことができる

 

アッサム茶農園の風景

アッサム茶園のシェードツリー(日差しや風などから作物を守るために植えられた木)は、象にも安らぎを与える場所になっています。

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アッサムの主な茶園

◆ダフラティン

標高の高い茶園の多いアッサムの中でも、比較的高いところに位置する茶園です。

ほとんどがCTC製法の紅茶で、リーフティーは全体の5%にも満たないのですが、ゴールデンチップをたくさん含んでおり、アッサムらしい強いコクと甘い香りを余すことなく発揮していると定評があります。特に、セカンド・フラッシュのリーフティーは非常に高く評価されています。茶園名の由来は、Duflaという部族が、蜂の巣(Ting)を取り払って茶を植えたということに由来しています。

◆ラマナガー

近くには保護林もある、自然の豊かな小さな丘陵地帯に40年ほど前に拓かれた小規模な茶園です。茶園では、古い茶樹からの改植が行われ、2002年からはオーガニック農法を採用しています。

若い茶樹から作られる茶葉は、やわらかな香味が特徴です。しっかりしたコクがありながら、渋みが少ないので飲みやすいといわれます。茶園の名前「ラマナガー」とは「神の大地」という意味です。

◆ハルムッティー

日本でも比較的知名度の高い茶園です。ほとんどの紅茶生産がCTCというアッサムにおいて、1870年の創業から一貫してオーソドックス製法によるリーフティーを生産し続けています。レインフォレストアライアンスISO22000:2500など食品の安全性や労働環境の向上などにも高い意識をもって取り組む農園でもあります。

自然のさわやかさに溢れ、フルーツのようなみずみずしさと甘い香りが高く評価されています。その繊細な風味は、ストレートで味わうのが最良とされています。

レインフォレストアライアンス(RA)
米国ニューヨークに本部を置く国際的な非営利団体。1987年地球環境保全のために熱帯雨林を維持することを目的として、設立されました。

◆ディクサム

ディクサム川のほとりに拓かれた茶園で、アッサムでも特に上質なお茶を生産する地域にあります。

この茶園の茶葉の特徴は、味や香りだけではなく見た目や水色の美しさにあるといわれます。特に、セカンド・フラッシュとオータムナルの茶葉は高く評価されています。ストレートでもミルクティーでも、どちらでもおいしくいただけるので、イギリスはもちろんのこと、ヨーロッパで広く人気が高いお茶です。

◆ディコム

茶園は、標高130メートルほどの肥沃な台地に拓かれています。豊かな自然の中で営まれ、多くの野生動物も見られます。長年、積極的な植え替えを行っており、そのため茶葉には若々しさが感じられます。また生産期間を通して、安定した良質の茶葉を生産しているため、海外からも高い評価を得ています。華やかなフラワリー・フレーバーや甘味、渋味のバランスもよく、ゴールデンチップを多く含んでいることが特徴です。

約1500㏊に及ぶ広大な茶園の生産量は多く、輸出用の紅茶として出荷されています。茶園の名前「ディコム」は「水」を意味し、昔この地を治めた王が水のおいしさを称えたことから付いたといわれています。