②ブレックファスト・ティー breakfast tea
ブレックファスト・ティーとは
ボリュームたっぷりのイギリス式の朝食には、紅茶がつきものです。ですから、他の時間帯と区別してあえて言う場合に限って使われる言葉です。ブレックファストカップという大きなサイズのカップに、たっぷりと注がれるのが一般的です。
元来、朝食の時のお茶はブレンド茶ではなく、中国紅茶の祁門(キームン)でした。
銘柄としてのブレックファスト・ティー
またブレックファスト・ティーとは紅茶の銘柄の一つでもあります。ミルクティーによくあう濃いめのお茶です。
イングリッシュ・ブレックファストは、インド紅茶とセイロン紅茶をブレンドしたものですが、最近はケニア紅茶を加えることもあります。アイリッシュブレックファストは、数種のアッサム紅茶のブレンドか、アッサム紅茶とセイロン紅茶のブレンドです。
③クリーム・ティー cream tea
アフタヌーンティーでは、スコーンが出されるのが一般的です。スコーンには、すでに学習したようにクロッテッド・クリームやホイップクリームを塗って食べますが、そうしたときのお茶をクリーム・ティーといいます。
紅茶にクリームを入れた時代もありましたが、現在ではあまり一般的ではありません。
④目覚めのお茶(アーリー・モーニング・ティー)early morning tea
単にモーニング・ティーmorning teaともいいます。朝食前の目覚めに飲む一杯で、ベッドで飲む人も少なくありません。ビスケットが添えられることもあります。
イギリスのホテルでは、モーニング・ティーの希望を聞かれることもありますが、そのモーニング・ティーとはこのことです。朝食の時のお茶(ブレックファスト・ティー)でも、午前中に飲むお茶(イレブンズ)とも区別されているため、勘違いしないようにしましょう。
⑤11時のお茶(イレブンズ)elevens
昼食前の休憩時に飲む、お茶やコーヒーのことです。
ビスケットなどをつまむこともあり、日本でいう「おやつタイム」にも似ています。日本ではおやつの時間は10時ごろのことが多いですが、イギリスでは11時が一般的です。これは、ヨーロッパでは昼食時間は、午後1時からとされているためです。
⑥ハイティーhigh tea
夕方6時ぐらいに料理を食べながら飲むお茶で、「軽い夕食」のようなものです。
北部イングランドに始まる習慣であることは、Lesson10-5で学習しました。労働者階級に始まる習慣なのでアフタヌーンティーのような華やかさはありませんが、その名の由来とも言われるとおり、ティーフードのカロリーはかなり高めです。
ハイティーのティーフード
- ローストビーフ
- スモークハム
- ローストチキン
- いり卵
- 卵とベーコンのパイ
- ミートパイ
- サンドイッチ
- ティー・ブレッド
- スコーン
- チップス(フランス風のポテトフライ)
- フラップジャックとよばれる甘いシリアルバー
- バターショートブレッド
- ジンジャーブレッドクッキー
- マーマレードやオレンジやレモンの皮が入ったダンディーケーキ
- ドライフルーツ
その他サラダ、デザート、果物、チーズなど、これでもほんの一部で、各家庭で自慢の料理やお菓子が振舞われています。飲むよりも「食べる」の意味が強いお茶の時間です。
ハイティーのティーフード
◆ダンディー・ケーキdundee cake
大きな丸いフルーツ・ケーキです。マーマレードや干しぶどうやスパイスなどをたっぷりと入れて、トッピングにはアーモンドを並べます。熟成させたほうた美味とされており、焼きあがってもすぐには食べず3週間ほどおいておくのが一般的です。
「ダンディー」とはスコットランドの東部にある町の名前で、この町の発祥といれており、クリスマスケーキとして用いられている地域もあります。
◆ジンジャーブレッドginger bread
ジンジャーブレッドとは、バター、砂糖、糖蜜を混ぜて加熱したものに、小麦粉とオートミール、ベーキングパウダー、すりつぶした生姜とナツメグ、卵をいれて混ぜ合わせ、オーブンで焼いたものです。
形は丸形や長方形で切り分けて食べます。これを男性の人型にして抜いた物や、アイシングしたものはジンジャーマンなどといいます。
◆ショートブレッドshortbread
Shortcakeともいいますが、日本でいう「ショートケーキ」とは異なります。小麦粉とバター、砂糖で作ったビスケットで、サクサクとした歯ごたえが特徴です。丸いお皿に焼くのが一般的で、それを細長い長方形やくさび形に切り分けます。ちなみにこのshortとは「脂肪分に富んでいる」という意味です。
ショートブレッドはスコットランドの大みそかには欠かせないものです。午前0時の鐘が鳴らされたあと、最初に家を訪ねる人はその家に幸運をもたらすといわれ、その訪問のお礼にこのお菓子をもらう慣わしとなっています。
⑦ナイトキャップnightcap
就寝直前に飲むアルコールのことですが、ホットドリンクをさすこともあります。この時にもビスケットなどをつまむことがあります。
普通の紅茶を飲むこともありますが、カフェインの作用を考えてハーブティーなどが好まれています。その日一日を締める最後の一杯です。
⑧ナーサリー・ティーnursery tea
子供のためのアフタヌーンティー
ナーサリー・ティーとはChildren’s teaともいわれる、子ども向けのアフタヌーンティーです。ぬいぐるみなどを並べて、子どもたちを楽しませる趣向がなされます。茶器も、キャラクターものなど子どもたちの喜ぶデザインのものが商品化されており、兄弟姉妹で簡単に済ませることもあれば、あるいは友人を招待してパーティーをすることもあります。
子供のためのアレンジも
本格的なナーサリー・ティーは、もちろんアフタヌーンティーと同様に、最初にサンドイッチやバターつきパンからスタートするのがマナーで、そのあとにケーキが1~2個出されます。飲み物は、必ずしも紅茶とは限りません。オレンジジュースやレモネード、冬ならばココアなどもあります。
通常のサンドイッチのほかに子どもが喜びそうなバナナのサンドイッチや、トマトのサンドイッチもだされることがあります。また、ちょっと体調が悪い子どもにはビーフ・ティーと呼ばれるブロス(肉を煮だしたスープ)が出されます。
⑨アウトドア・ティーoutdoor tea
日本でいう、野外でたてる茶の湯の「野点(のだて)」です。イギリスは美しい庭をもつお屋敷が多いですが、そうした緑の芝生や庭のテラスなどに茶席をもうけます。家族や親族、友人や知人を招き穏やかな太陽の光がふりそそぐなかで楽しむティーパーティー(garden party tea)と呼ばれるものもあります。
外で行う茶会なので、季節感を楽しむのも一つの目的です。イチゴの季節には、イチゴを使ったサンドイッチ、スコーンのためのイチゴジャムなど、手作りの味をいただきます。
Lesson12のまとめ
確認テストで学習した内容を確認し、知識を定着させましょう。
ここからLesson12の確認問題を行うことができます。





